ウェンセスラスはよい王様

ウェンセスラスはよい王様

クリスマスの曲として知られている「ウェンセスラスはよい王様」の階名付き楽譜です。
令和6年度から教育出版の6年生の教科書に器楽教材として掲載されています。この主旋律はリコーダーで演奏することになっているため、固定ドによる指示をすることもあるかと思います。しかし、それで歌わせることは大きなデメリットを伴います。固定ド唱をさせてしまうと階名唱に適した感覚をもつ学習者にとってはかえって歌いにくくなり音楽的な理解を妨げるという逆効果を招きます。同じ教育出版の教科書でも3年生の「マジカルシラソ」では、「せんりつを『トゥ』や『ル』で歌って…」と、旋律の把握のための歌唱活動では固定ド唱でない単一シラブルでの歌唱を求めています。もう一方の教科書会社である教育芸術社の教科書でも「あの雲のように」「メリーさんの羊」「きれいなソラシ」等で、同様の記述があります。
そのため、運指の指導で便宜上固定ドを使用したとしても、それで歌わせることは避けるとともに、正しく階名で歌うとこうなるという例を示してあげていただきたいのです。階名唱法を知らなくても感覚的に階名が合う人にとってそれは貴重な拠り所になります。
また、中学校でアルトリコーダーを習えば、ソプラノリコーダーのGの運指がCになることを、大きな困難と考える子が多くいます。ト長調の楽曲を階名唱してリコーダー奏することは、この負担を軽減する手助けになります。
現場で指導して、固定ドで問題ないように見えても、階名唱を知れば「そっちの方がいい」と思う子がいる可能性は否定できません。そうした子がどこのクラスにもいるものと考えて授業をすることが、子供の可能性を閉ざさない指導になりますし、唱法を扱う教師の責任だと思っています。

コメント

このブログの人気の投稿

メリーさんの羊

よろこびの歌