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 「階名付き楽譜」は教育関係の仕事もしている音楽家、LALARIEZE(ララリーゼ)が個人的に作成した、パブリックドメイン楽曲の階名付き楽譜を無料でダウンロードいただけるサイトです。「階名唱は苦手だけど音楽の授業をよくしたい」、「五線譜を階名で読むのがハードルに感じる」そんな先生に活用していただきたいと思っています。
 また、掲載曲の一部を階名唱の歌唱音源付き(AI)でYou Tubeチャンネル「Let's階名唱!」に上げています。こちらはJASRAC管理曲もご視聴いただけます。


楽譜及び教材の利用に関して

 学校現場や音楽教室、個人レッスン等でのご活用を想定しております。印刷しての配布、ネットでの共有どちらも自由です。また、ワークシートにするため、書き込みを加えたり穴あきを作る等、改編も加えていただいて構いません。クレジット表記も不要です。楽譜以外の自学教材に関しても同様です。
 ただし、楽譜そのものを有償で再配布することはご遠慮ください。


階名及び唱法指導に関して

 階名付き楽譜と聞いて、多くの方は音楽会で使う楽譜等で下にドレミがふってあるものを思い浮かべると思います。ハ長調やイ短調の場合は階名ですが、それ以外の調では多くの場合、ふられているのは階名ではなく音名です。
 小学校学習指導要領解説 音楽編において、「階名とは,絶対的な音の高さを示す『音名』とは異なり,長音階の場合はド,短音階ではラをそれぞれの主音として,その調における相対的な位置を,ドレミファソラシを用いて示すものである。階名を用いて歌うことを階名唱と言う。階名唱の場合,調によって五線譜上のドやラの位置が移動することに留意する必要がある。」と記載されています。つまり階名とは移動ドで書かれたものであるということが示されています。

 階名で歌うことを階名唱といいますが、学習指導要領解説では「歌唱」における内容の取扱いとして、この唱法について、「この唱法によって,音と音との関係を捉えるという相対的な音程感覚が身に付くようになる。そのため,児童の実態を十分考慮しながら,学習のねらいなどに即して,適宜,移動ド唱法を用いて指導をすることが重要である。」と示されています。

 それにも関わらず、学校現場では教師の「移動ドは難しい」との思い込み等から、階名唱(移動ド唱法)を用いず、代わりに学習指導要領で一切示されていないドレミによる音名唱(固定ド唱法)が用いられることが多く見受けられます。これには重大な問題があります。

 階名唱(移動ド唱法)と音名唱(固定ド唱法)は人によって合う合わないがあります。自分に合っていない唱法はかえって歌うことを困難にし、音楽的な理解も妨げます。つまりどちらかの唱法のみで指導することは、「一部の人にとってのみ都合のいい教育」をしていると考えられるため、えこひいき教育とも言えます。これは公教育においてあってはならないことだと考えます。

 「階名を使う人などほとんどいない。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そもそも知らないと使えるはずがないのです。試しに授業で扱う曲の調の音階を楽譜等を見せずに弾いて、(例えばそれがヘ長調であれば)「これをファソラシドレミファと歌った方が歌いやすい人?ドレミファソラシドと歌った方が歌いやすい人?」と聞いたとき、後者で手を挙げる人がクラスに誰一人いないと思いますか?いるかもしれないのにそれを確認せずに一方的に前者に都合のいいやり方で進めるということは、そういった立場の人を無視しているということになります。
 階名を知らないだけで潜在的に階名の方が合うという人は、自分の感覚がなにも間違っていないにもかかわらず、自分の感覚と異なるものを正解と思ってしまうために無駄な遠回りに苦しむことになります。私自身もそうでした。先生にとっては優しい配慮のつもりの固定ドかもしれませんが、その子が将来階名唱の利点に気付き、無駄な努力をさせられていた(しかも学習指導要領で示されていないことを)と知った時、はたしてそれを優しい配慮と思うでしょうか?

 教師が教えないということは選択肢を与えないということです。音楽に限らず、複数の方法があるのに1つの方法しかさせないのは、それが合わない人の成長機会を奪うことです。「階名唱を教えなくてもいい」と言うことは、階名唱の方が適している人の成長の芽を摘んでもいいと言っているのに等しいのです。それは教師のエゴでしかありません。教師のやり方に染めるのではなく、学習者が自分に合った方法を見つけ、それを伸ばしていけるように支援するのが教師の務めだと思います。

 サイト作成者は決して、階名唱が合わない子供(主に絶対音感をドレミで身に着けた子供)に階名唱を強要することを望んではおりません。それは私自身がドレミ音名唱(固定ド唱)で嫌な思いをしたのと同じ思いをさせることになりますので。ただ、そうした子供に配慮するために他の子の学習機会を犠牲にしてはならないと思っています。例えば、「階名付き楽譜」を配布もしくはデータ共有し、活用できる子にはそれを促したうえで、授業で音取りのために歌うときはラララを使用し、階名等は頭で意識しながら歌うのであれば、どの立場の子も不利益にはならないでしょう。これはあくまで一例ですが、このように教員一人一人が「人を大切にする」という意識をもって授業を考えれば唱法問題に公平な授業は可能だと私は思っています。その実現のために私の教材を有効に活用していただけることを願っています。公平な階名唱の指導方法に関しては「階名唱を取り入れた授業方法の提案」のページにまとめています。

 もし私が、固定ド唱法しか知らなかったら、作編曲もピアノも視唱も聴音もできない、そして今のように音楽を心から楽しいとも思えなかったと思います。だからこそ、自分に合ったやり方を知らない、もしくはさせてもらえないだけで「できない人」にされてしまうような授業に出会うのがとても辛いのです。

 私自身、学級担任を務めていた時、「どの子にもちゃんと居場所が感じられる学級づくり」ということを一番大事にしてきました。「どの子も大切にする」という姿勢は教育の仕事をするうえで、最も大切なことの一つだと思っています。

 階名唱によって、歌うことが楽しくなったり、音楽が詳しくわかるようになったりする子が必ずいます。そうした子の可能性を閉ざさないためにも、きちんと子供が自分に合ったやり方で音楽の能力を伸ばしていけるような音楽教育を実現していただけましたら幸いです。

 なお、「器楽で固定ドを使うから歌も固定ドの方が良い」と考える先生も少なからずいらっしゃるようです。これに関しては、「学校教育での器楽指導と階名唱とのかかわりに関する考察」や「学習指導要領と教科書の唱法の取り扱い」も参考にしてみてください。確かに教科書でも器楽の運指の確認には固定ドを使用しています。しかし、そのデメリットはきちんと把握して指導に当たるべきですし、器楽でも階名を活用している人が実際にいる以上、その可能性を教師が奪ってしまうことはあってはなりません。学習指導要領も教科書も固定ドで歌う活動までは求めていないことも心得ておくべきだと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

   LALARIEZE

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