階名に対応したリコーダーの運指表です。
中学校までの読譜指導で扱われる調のものを掲載しています。
演奏したい曲の調に応じて運指表を選んでください。画像クリックでPngをダウンロードできます。学校や音楽教室、子供の自主学習等でご活用ください。すべて無料です。まとめてダウンロードしたい方はGoogle Driveからでも可能です。
ジャーマン式とバロック式の見分け方はページ下部で紹介しています。
※いらすとや様のフリーイラストを入れさせていただいていましたが、ファイルサイズが大きくなりすぎたのでなくしました。上記リンクのGoogle Driveからダウンロードできるものはイラスト入りになっています。
ソプラノリコーダー ジャーマン式
ハ長調・イ短調
ハ長調およびイ短調の運指表です。多くの小学校でこの運指を習いますが、最初の方に学習する曲はハ長調よりも次に載せているト長調の方が多いです。なので多くの小学校のリコーダーの最初の学習はト長調をハ長調の階名で読んで練習していることになります。
ト長調・ホ短調
小学校のリコーダー教材でも多くの曲が取り扱われているト長調に対応した運指表です。このサイトでも「
あの雲のように」や「
よろこびの歌」等、多くのト長調のリコーダー教材曲の階名付き楽譜をのせているので活用しやすいと思います。
また、中学校で習うアルトリコーダーのハ長調の指づかいはこれとほぼ同じになるので、早いうちから慣れておくのも良いでしょう。
「★」をつけているところは、ハ長調と指づかいが変わるところです。ハ長調の「#ファ」がト長調の「シ」になりますが、小学校では「シ」が出てこない曲も多く扱われています。
ヘ長調・ニ短調
ヘ長調・ニ短調に対応した運指表です。ト長調ほど多くはないものの小学校で演奏する機会も多いです。代表的なものに教育芸術社の「
メリーさんのひつじ」があります。音楽会等では他にもヘ長調やニ短調の曲を演奏する機会もあります。
「
★」はハ長調と指づかいが変わるところです。ハ長調の「♭シ」はヘ長調の「ファ」になります。ただ、小学校では「ファ」が出てこない曲が扱われることが多いです。
ソプラノリコーダー バロック式
ハ長調・イ短調
ト長調・ホ短調
ヘ長調・ニ短調
アルトリコーダーのハ長調・イ短調の運指表です。固定ドで学んだ多くの子はここでドの運指が変わることで混乱し、そのままリコーダー嫌いになってしまうことも少なくありません。しかし、ソプラノリコーダーでト長調を階名を使って演奏した経験があれば何も難しくないことに気づけるでしょう。「ほぼ同じ」と書いているのは、ジャーマン式だと「シ」や「♭シ」の運指が変わるためです。バロック式であればまったく同じです。「★」マークは「指づかいに気をつけて」という意味でつけています。
ヘ長調・ニ短調
ト長調・ホ短調
中学校のリコーダー教材曲のほとんどはハ長調かヘ長調(またはその平行調)なので、ト長調(ホ短調)が出てくる機会は少ないです。例として挙げられるのは教育芸術社の「美女と野獣」で、前半ヘ長調、後半に2度上がってト長調になります。ただし、これを覚えておけばソプラノリコーダーでニ長調・ロ短調も演奏できます。
ジャーマン式とバロック式
リコーダーのジャーマン式とバロック式を見分けるには、下から3番目と4番の穴を見ます。下から3番目の穴が小さければ「ジャーマン式」、4番目の穴が小さければ「バロック式」です。小学校ではハ長調の「ファ」の運指が簡単なジャーマン式が多く使われていますが、中学校で習うアルトリコーダーはバロック式しか流通していないため、運指が変わらないように小学校からバロック式で学習させている学校もあります。
移調奏をしてみよう。
階名を使うことの良さの一つとして、移調して演奏しやすいことが挙げられます。ここでは「
仰げば尊し」をソプラノリコーダーで演奏する場合を例に考えてみましょう。この曲は教育芸術社の教科書(小学校)ではニ長調、教育出版の教科書では変ホ長調で掲載されていますが、どちらにしてもそのままリコーダーで演奏するのは少し難しいと思います。
そこで、上に示した3つの運指表で演奏できるように移調することを考えてみましょう。この曲の場合、ヘ長調が一番簡単と思われますので、ヘ長調(ニ短調)の運指表を見ながら、階名付き楽譜にふられた階名を読んで吹いてみましょう。ヘ長調で演奏できます。
このように階名での演奏ができると楽譜の調に関わらず、自分が演奏したい調で演奏することができます。リコーダーの教本などでは多くの曲が上に挙げた3つの運指表で演奏できる調に移調されて掲載されています。階名が演奏に使えれば、そのような移調譜を買い求めることなく自分で移調奏ができます。
このサイトでもいろいろな調の階名付き楽譜を掲載していますので、リコーダーで演奏しやすい調で移調奏できないか試してみてください。
終わりに
以上、小中学校のリコーダーで活用できる運指表を紹介しました。ただ、これは丸暗記するようなものではありません。大切なのは「どこでも『ド』にできる」ということを感覚的に会得することです。そうすればここに無い調でも自分でドを見つけて演奏することができます。それは遠回りに見えるようで実は良い演奏するうえでは近道になるかもしれません。
皆さんも、ここで紹介した以外の音を「ド」にできないか確かめてみてください。ヒントは「ファ」に「#」がつけば、それは新しい「シ」になります。「シ」の「♭」がつけばそれは新しい「ファ」になります。
「器楽に階名は使えない」と言う人もいますが、それは単にその人が使えないだけです。もちろん「音名」も使いますし、「ハニホ」や「ABC」の代わりに≪とりあえず≫ハ長調の階名で読むことも一つの方法として否定はしません。しかし、正しい階名を使うことで、曲を覚えやすくなったり、音楽のことがよくわかったり、演奏が楽しくなったりすることは、歌でも器楽でも変わりません。階名唱をやって、その良さに気づき、「楽器でもこれを使ってみたい」と思われた方は、是非実際に使ってみてください。「使えない」という先生がいたらそれは100%その先生が間違っています。実際に活用している人がいるのですから。「使えるか、使えないか」は学習者自身がやってみて判断することです。指導者が自分の価値観で決めることではありません。
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